ステロイド治療の背景と問題点 → HOME  

ステロイド外用剤について

 ステロイド外用剤は、1950年代に登場し、皮膚炎、湿疹の治療は劇的に向上しました。従来の手間や時間と熟練を要した軟膏治療が、短時間に簡単に行え、この切り札の登場で180度の治療転換が起きました。何よりもこの薬剤の優れているところは、強力な抗炎症作用で、メーカーも次々により強力なものを開発し、医師もそれに追従しました。

ステロイド外用剤の問題点

 しかし、やがて大きな副作用が表面化します。 
 元来、ステロイド外用剤は病気の原因を断ち切る性質のものではなく、症状を一時的に抑え込むものであるため、特にアトピー性皮膚炎のように慢性的反復的に症状が継続する疾患においては、結果的に長期の大量使用を余儀なくされることが起り得ます。そのため、やめることは難しく、たとえやめても症状はその何倍にもなって悪化(リバウンド)します。
  これが、今や患者さんと医師ともどもアトピー治療の大きな問題となっています。
  よく、「アトピー患者はステロイドに過敏過ぎる、他に決定的治療法がない以上、ステロイドに頼らざるを得ない」とか、「ステロイドは皮膚科専門医が症状に合わせて上手に使えば問題ない」という医師の声を聞きますが、果たしていかがなものでしょう。
  また、アトピーに限らずあらゆる病気に対する新薬が開発され、使用法も試行錯誤しながら確立されています。例えば、免疫抑制剤タクロリムス含有のプロトピック軟膏が、新たに治療薬として用いられるようになったことはその一つの現れでしょう。
 客観的に判断しますと、ステロイドに関しては多くのアトピー患者は否定的であり、多くの医師は肯定的であり、両者の間には大きな隔たりがあると言えます。まず行うべきことは、ステロイド外用剤使用の是非ではなく、この種の病気は環境に左右されるところが大きいため、薬剤だけで治そうとするのではなく、自分自身もでその原因を見極め、改善していくことが重要だということです。そのため医師は適切なアドバイスを行うことも必要となるでしょう。
  ただし、ステロイド剤の使用の可否、使用法を含めた治療法やアドバイスは各医師によって違いはあるでしょう。

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