Q |
乳児期の湿疹には、どんなものがあるか教えてください。 |
A |
乳児の皮膚は未熟なため刺激を受けやすく、湿疹ができやすいといえます。症状を分けると、
(1)頭皮や頭にできるもの、
(2)おしりにできるもの、
(3)顔や体を含めた全体にできるもの
と三つに分けられます。
(1)の場合は、「乳児脂漏性湿疹」と呼ばれ、頭には黄色い”かさぶた”が付着し、顔は赤く腫れる状態になります。皮膚の分泌のコントロールがうまくいかず過剰に分泌することによります。頭をオリーブ油で拭いたり、顔は亜鉛華軟膏等の非ステロイド系外用剤の使用で大部分は消退します。
また、離乳し始めたころから、口の周りに湿疹が見られますが、これは果汁の酸や食塩、醤油の塩による刺激と患者自身の”よだれ”などによります。この場合は刺激物の摂取を中止したり、濡れガーゼで口の周りを拭いてください。ただし、濡らす水は塩素を含んだ水道水ではなく、浄水器を通した水、沸騰させた水、市販のミネラルウォーターを使用したほうが良いでしょう。哺乳瓶を消毒する際は、次亜塩素酸系消毒剤は避けてください。この場合の塩素濃度は100ppm以上になります。(水道水の塩素濃度は0.1〜2ppmで、この濃度で水中の細胞は十分ゼロになります。)
(2)の例は、俗に言う”おむつカブレ”です。尿や便の刺激で発症するものと、おむつの組成にかぶれる二通りがあります。前者は湿った部分に発疹が見られ、布おむつの場合に多いのですが、こまめに、おむつを取り替えれば防げます。
後者は、高分子吸収剤で普及した”紙おむつ”によるもので、おむつを当てた場所全体、ギャザー部分、両側のテープ部分に起きたり多彩です。メーカーを変えても治らない場合は”布おむつ”に替えてください。また、”さらし”は使用前に水洗いしたほうがよいです。
(3)の例は、乾燥肌に見られるアトピー性皮膚炎と厳密に区別できない場合もありますが、最も影響しているのは食事です。血液検査で食物アレルギーの検索方法がありますが、信頼性が著しく低く、検査費用が高額のため、私は乳幼児にほとんど実施していません。
この場合、母乳の成分が母親の食べ物に左右されるので、チョコレート、スナック菓子などは控えてください。食後30分〜2時間で母乳に含まれるので、油っぽいねばねばした母乳の場合は食事改善が必要です。食事の影響は食後数時間で出るので、離乳時には一種類ずつ食べさせると原因の特定もしやすいです。
入浴時に発疹する場合は塩素の影響を受けているので、当院で調合する”脱塩素型入浴剤”の使用をお勧めします。
このように、”湿疹”は、患部に対する処方もさることながら、原因療法を怠っては、予防にならず、再発はまぬがれません。 |
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